研究内容
ナノテクグループ
ソリッドステートナノポア近傍のDNA分子の直接的挙動観察
生物物理グループ
ニワトリの心筋細胞における拍動の解析
細胞に作用する光の波長とそのメカニズムの解析
器官発生グループ
外胚葉性器官原基の誘導と発生の制御メカニズムの解析

生物物理グループ 研究概要
1) ニワトリの心筋細胞における拍動の解析
 生涯に渡って全身に血液を送り出す役割を担う心臓のポンプ機能や拍動リズム
は、
個体の生存に不可欠であることから極めて精密に制御されています。重大な 心臓疾患に対して最も有効な治療の手段として心臓移植が行われているものの、 慢性的なドナー不足の問題から、ペースメーカーや人工心臓による機能代替とい う治療の形が多く用いられています。
 心臓は拍動の原動力となる心筋細胞と、線維芽細胞や神経細胞などの非心筋細 胞から成り立っています。心筋細胞は興奮すると活動電位が生じて収縮し、活動 電位の電場パルスが伝播する事によって拍動が同期します。また、機械的刺激に よって心筋細胞に活動電位が生じるという報告があり、細胞単位で心臓マッサー ジ効果が期待できます。非心筋細胞は拍動しないが、拍動を同期化の信号伝達に 重要な役割を担っているという報告があります。本研究では、心臓の拍動強化の 基礎研究として、十分に研究が行われていない細胞単位での拍動に焦点をあてて、機械的刺激による影響および同期化のメカニズムを解明する事が目的です。
 本研究では、ニワトリ胎仔の心臓から採取した心筋細胞をシャーレ上に初代培養して心臓簡易モデルを作製しました。マイクロマニピュレータ
ーで周期的な拍動を模した機械的刺激と、心筋細胞を繋ぐ非心筋細胞の切断を行い、細胞単位での機械的刺激の効果と、非心筋細胞の同期への寄与を、数理モデルを用いた検証を進めています。
(画像:培養シャーレ上での簡易心筋モデルの構築)

2) 細胞に作用する光の波長とそのメカニズムの解析
 ヒトが太陽光に長時間当たり続けると皮膚が炎症を起こします。これは、紫外

線が 皮膚の細胞を死滅させることが原因です。紫外線と細胞は昔から研究されて いますが、それを拡張して、光と細胞の相互作用について研究することにしまし
た。光を照射しながら細胞を培養するのは一般的ではありませんが、その状態で
培養すると細胞はダメージを受け、また、細胞は光の照射範囲内では繁殖が抑制
され、光の照射範囲外に移動して繁殖するという報告があります。

 しかしながら、細胞に影響を与える波長帯はまだ特定されていません。そこ
で、特定の波長帯の光をLEDで照射することによって、細胞が影響を受ける波長
帯の研究をしています。この研究によって特定の光の波長がどのように影響を与
えるかを実験的に調べています。最終目標は、細胞のどの細胞小器官によって光
の影響を受けているのかの解明です。
 そのために、細胞に光を照射する装置と一定の間隔で光を照射するプログラムを作成しました。今後はさまざまな波長の光をさまざまな細胞に照射し、細胞の様子を観察していく予定です。
(画像:培養シャーレ上のHeLa細胞)

Link
Access
Photo Gallery
Topics
Publication
Research
Member
Top