Complexed phase switching dynamics in IJJs

ここでは、最近の研究成果を1つ紹介します(研究を始めるきっかけと研究背景については、こちらをクリックして下さい)。以下に示す実験結果は、第1スイッチと第2スイッチに対する実効温度Teffの温度依存性が、IJJ素子の電流−電圧特性のわずかな違いによって変化することを説明するものです。 図の上側は、第二電圧状態へのスイッチング電流が第一電圧状態へのスイッチング電流よりも大きいIJJ素子の実験結果です。 第2〜第4スイッチのすべてのTeffが、第1スイッチのTeffに比べて、より高温から 温度依存しなくなるMQT的挙動を示す実験結果が得られました。 これに対し、図の下側は、第二電圧状態へのスイッチング電流と第一電圧状態へのスイッチング電流がほぼ等しいIJJ素子の実験結果です。 この場合には、両者のTeffは同じ温度依存性を示すことがわかります。 我々はこれらの実験結果から、第1スイッチ後の電圧状態で発生する交流ジョセフソン電流の影響が隣接する別のジョセフソン接合に波及し、その非線形効果によって第2スイッチの特異現象が生じるのではないかと考えています。 このような複雑な挙動は、従来のジョセフソン接合アレイでは観測されておらず、IJJ系を特徴づける重要な研究成果であると考えられます。

ayf46

Bi2212IJJ素子の電流電圧特性と位相スイッチ特性の温度依存性