Microfabrication

真空中の電荷は電場によって加速され、磁場によって軌道が曲がるので、かつてのブラウン管だけでなく、現在の半導体製造技術にもこの性質が多用されています。北野研究室では、本学理工学部に附置された機器分析センター内に設置されている集束イオンビーム(Focused Ion Beam, 略してFIB)加工装置(図1)と研究室で保有するイオンシャワー装置(図2)を用いて、Bi系銅酸化物超伝導体や鉄カルコゲナイド超伝導体の微小接合素子(図3)を作製しています。
 いずれの装置も真空中で発生させたイオン集団を電場で加速して試料に照射します。 FIB装置では、電子顕微鏡と同じ原理でイオンビームを集束し、試料の一部分だけを削るエッチング加工と、 イオンビーム照射によって分解する特殊なガスを試料近傍に吹き付けて別材料(例えば、カーボンやプラチナなど)を部分的に蒸着するデポジション加工を行います。 一方のイオンシャワー装置では、メタルマスクやフォトマスクなどを用いてイオンビームを部分的に遮断したエッチング加工を行い、凹凸パターンを形成します。 超伝導体試料の場合、イオンビーム照射によって超伝導特性が劣化する可能性もあるので細心の注意を払いつつ、2つの装置を使い分けながら、1ミクロンよりも小さいナノスケールの精度で単結晶試料を3次元的に微細加工しています。

FIB_instr

図1 FIB加工装置(本学理工学部機器分析センター)

ECR_instr

図2 ECRイオンシャワー装置

IJJ-device

図3 微小接合素子