ここに書いてあることはあくまで私個人の意見です。 絶対こうというわけではありません。
ただし私の担当しているテーマについてはここに書いたことを元にして採点しています。良いレポートを完成させる第一の条件として実験が正確に行えたかどうかがあげられます。 実験が失敗して実験テキストに書かれている原理が理解できるような値が得られなかったときは, それを考察すればなんとかなる,という人がいますが, 私はメチャメチャな結果に対して考察をしてもあまり評価しません。 万が一それなりの結果が得られなかった場合は, 確かにそれに対して考察するしかありませんが, いったい何を考察すれば良いのでしょうか? たとえば,「どこどこの設定が悪かったので結果が得られなかった」とか 「ちゃんと予習してこなかったので時間がなくて終わらなかった」とか 「計測器の読み方を間違えたので・・・」なんていうのは感想であって 考察でないことに注意しましょう。 実験に失敗した場合の考察の正しい書き方を私は知りませんが, 少なくとも数値的にどの程度の間違いがあったのかを論理的に説明すべきでしょう。 しかしこれに成功したレポートを私は知りません。 というわけで,以下は正しい(と思われる)結果を得た場合についての話です。
良いレポートを書くには コツがあります。 当然,実験結果をダラダラと書いただけのレポートなんてレポートではありません。 必要な解析をして必要な考察をしないと 実験した意味がありません。 たとえば,卒業研究や修士課程における実験は 誰も知らないことを研究するわけですから, 実験結果を解析し考察しないと 結果の意味が理解できないのは当たり前です。
それに対し,学生実験では実は結果やそこに潜む原理は 参考書を見れば載っています。 ではそれを写せば良いレポートになるのでしょうか? 当然結果なんて実験条件が異なれば変わってくるので 参考書を写すなんてことはしない方が良いに決まっています (ましてや過去レポートなどの他人のレポートを写すのは 愚の骨頂です。 なにせ根本的に間違っているかもしれないのですから)。
ここで重要なのは,自分でちゃんと測定をしたか,ということになります。 実験者の能力によっては,もしかして解析方法は理解できないかもしれませんし, 原理についてもよくわからないかもしれません。 しかし測定することはできるはずです。 そして測定結果を記録することもできるはずです。 それをそのまままとめれば実験結果として評価されるでしょう。 ただしまとめていない測定結果をレポートに書かないように! それは見る人を不快にさせます。 なお,まとめる能力のない人はしかたありません。 まとめる能力がないと評価されるだけです。
解析・考察に関してはどうでしょうか? これは参考書を多いに利用して下さい。 そのテーマに潜む根本原理を理解して, その原理が見えるように,測定したデータを 変換したりグラフ化したりすることが必要なのです。 そしてこれは必ず実験テキストの解析や考察の章に書いてあります。 それにしたがって解析すれば必ず根本原理まで到達するように 書いてあるはずです。 これらの解析や考察,あるいは現象の根本原理は3年間の学生実験を通じて 段階的にステップアップしていきます。
さて,実際にレポートを書くときになって重要なことは, 実験テキストに書いてあることを良く考えてまとめるということです。 実験テキストに書いてあることを理解してまとめればそれなりのレポートが完成します。 ここでは私の考えに基づいた良いレポートについて述べていきます。 私の考える「良いレポート」とは「実験テキストがなくても同じ実験を再現できるようなレポート」のことです。 そのためには・・・
■目的,原理,実験方法それでは3年間の学生実験を1年次の厚木物理実験から見ていくことにしましょう。
実験テキストには様々なことが書いてあります。 その中で,実際に実験を行ってみて改めて必要なことを抽出してまとめるようにして下さい。 ただ闇雲に実験テキストとを写すことは止めた方が良いです。 そのような書き方をした場合,ほとんど見てもくれないでしょうから。 何を理解しようとして実験したか,結果の解析や考察をまとめるときに どのような原理を用いたのかがわかるような書き方をすると良いでしょう。 また,実際に実験をしたとき実験テキストに書いてあること以外の設定や測定をする場合があります。 これは実際に行ったことを忠実にまとめて下さい。 これも実験テキストを丸写しすると見てくれないでしょう。 それ以外の実験や測定をした場合はそのことがわかるように書くべきです。■実験結果,解析
いきなり表やグラフを羅列する人がいますがまったく無意味です。 レポート(実験レポートに限らず)はまず文章を読んでもらうのが先決です。 どのような測定をしてどのような結果が得られたのかを説明しましょう。 その説明を補うのが表でありグラフであることを認識して下さい。 おそらく表やグラフが羅列したレポートはほとんど点がないでしょう。 測定されたデータはどれかがわかるようにまとめましょう。 それらから,どのような解析をしかた,解析した結果どのようなことがわかったかを 明確に書きましょう。 どれが測定結果でどれが解析結果なのかわからないレポートはやはり無意味です。■考察
良いレポートを書くには考察がどの程度書けているかが分かれ道です。 問題は実験で得られるべき原理が理解できているかどうかです。 もし理解できない場合は,どんなに考察をしてもあまり評価されないでしょう。 自分で理解したことを,実験結果および解析結果を用いて表現するのが考察だからです。 理解していないまま考察を書こうとすると トンチンカンなことを平気で書くことになるので, よほど巧妙に書かないとばれます。 実験直後あるいは解析した直後に原理が理解できなくても 悲観することはありません。 ちょっと図書館に行って必要な参考書を紐解けば, 実験に潜む原理などすぐに見つかります。 この原理を理解することも理工系の大学生なら無理ではないと思います (そのような実験を用意しているはずだから)。 もしそれでも理解できなかった場合は, 遠慮なく理解できないことを担当者に言いましょう。■1年次の物理実験
1年次の物理実験では 穴埋め式の報告用紙を使っています。 これはとにかく測定をして必要な計算をして 指示されたグラフを描くことを目標にしているからです。 また実験時間が1時間半と短めなので, 測定を要領良く行うことも目標の1つになります。 しかし実はその他はあまり考える必要がありません。 考える必要がない,というのは言い過ぎかもしれませんが, 難しいことを考えるよりむしろ,中学高校で行ってこなかった 学生実験というものを, またそもそも実験というものを楽しむことを目標にしています。 実験は科学の基本です。1年間で10種類の実験を行いますが, きっと楽しめる実験があるはずです。
それでは私の担当である
「流体」
についてのコメントをどうぞ。■2年次の物理計測基礎実験
2年次の計測基礎実験は穴埋め式の報告用紙ではなく, 自分で一から書くレポートを提出してもらいます。 計測基礎実験では基本的に計測機器を扱えるようになることを目標にしていますが, レポートを書くキチンと書くことも目標です。 得られた測定結果をどのように解析すると原理が見えてくるかを 理解することを目標にレポートをまとめます。 そして必要なら参考書を開いて考察をして下さい。 実験を行う時期によっては講義で未学習のテーマを行う場合がありますし, 2年次の講義では扱わないテーマも行うことになります。 しかし講義で未学習のテーマも, 実験をすることによって理解しやすくなるものです。
それでは私の担当である
「円形電流」, 「コンピュータシミュレーション」, 「電気回路(AD/DA変換)」
それぞれについてのコメントをどうぞ。■3年次の物理・応用物理専門実験
3年次の専門実験はテーマそのものが難解になっています。 講義で未学習のテーマや,そもそも原理が解明されていないテーマもあります。 解析の方法は2年次の計測基礎実験と同じです。 異なるの実験結果が多くなるという点です。 多くの実験結果からいくつかの原理を理解することになります。 また要求される考察も難解になります。 これらを通して講義で未学習のテーマも ある程度は理解できるはずです。 あとは講義で数学を用いて完全に理解して下さい。 逆に講義で学習したテーマについては数学的に理解しているはずですから その知識を用いてより高級な考察ができることになります。
それでは私の担当である
「ディジタル回路」
についてのコメントをどうぞ。
最後にもう一度お断りしておきます。 ここに書かれていることはあくまで私個人の意見です。
私の担当テーマのレポートに関しては ここに書いたことに従って採点するつもりです。
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