青山学院大学 物理学科 コロキウム

1999年度 第14回

下記の通りコロキウムを企画致しました。是非ともご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。

なお、今後の予定については www.phys.aoyama.ac.jp/seminars/ を御覧下さい。 また理工学部キャンパスへの交通についてはwww.phys.aoyama.ac.jp/maps/map_cover.htmlを御覧下さい。
 

(世話人・羽田野 直道・学外からは03-5384-2642・学内からは23107)



講演者:遠藤 康夫 氏(東北大学・金属材料研究所)

日時: 12月17日(金) 午後4時15分から
場所: 青山学院大学 理工学部(世田谷キャンパス) 一号館 5階 1538号室

講演題目: 中性子で見える高温超伝導
要旨:
私は高温超伝導発見以来、約12年間中性子散乱によって銅酸化物のスピンの動的側面を捕らえる実験を行って来ました。 この一連の研究で解明されたことは次の通りです。

  1. 高温超伝導を示す物質の母結晶と言われる La2CuO4は強い磁気相互作用をもつ2次元反強磁性絶縁体である。
  2. この母結晶にドーピングを施すと量子揺らぎの結果、反強磁性が急速に破壊される。
  3. 更にドーピングを続けると金属に転移し、同時に高温超伝導が発現するが、その機構に銅スピンが大きな役割をする。
  4. 反強磁性の破壊や金属への相転移にこのように量子効果が大きな役割をすることから、この転移を量子臨界(Quantum Critical Point)と理論家は名付けているが、実際の結晶ではもっと複雑な要素が含まれている。

私は、これまでの中性子散乱実験結果を基にして、高温超伝導の発現には以上のような複雑な要素が絡まってはいると思いますが、電子が量子多体効果によって特別な量子状態を形成することに依るのでは無いかと考えています。

講議では中性子散乱によってスピンの揺らぎの実験法から始まって、最新の実験結果迄を解説するつもりです。


共催・青山学院大学 理工学会 物理学分科会