青山学院大学 大学院集中講義
以下の集中講義が行われます。 聴講を歓迎します。なおこの時間の大学院の通常講義は休講となります。
講師:美宅 成樹 氏(東京農工大・生命工学科)
場所: 青山学院大学 理工学部 一号館 5階 1538号室
時間割:12月16日(木) 10:40--12:10
13:00--14:30
14:40--16:10
1月11日(火) 11:10--12:40
13:30--15:00
15:10--16:40
1月28日(金) 16:30--18:00 コロキウム「ゲノム情報から膜タンパク質の構造/機能推定」
講義題目: 「バイオインフォーマティクス(生物情報学)」
要旨(以下、文責は羽田野):
ヒトゲノム計画を話の軸に、タンパク質の立体構造について、できるだけ物理的に理解しようという試みについて。
- ヒトゲノム計画について
遺伝子解読計画の現状。
- 生物の素子を物理化学で理解する
ゲノム計画によってタンパク質のアミノ酸配列のデータは大量に得られているが、その意味付け、つまりアミノ酸配列とそのタンパク質の機能の関係はほとんどわかっていない。
そのような「ポスト・ゲノム時代」には、まずタンパク質の機能を、アミノ酸配列に強く相関した形で分類する必要がある。
- ゲノム情報から膜タンパク質の構造・機能を予測する
アミノ酸配列を与えてそれが水溶性タンパク質であるか膜タンパク質であるかどうかを判断する方法を説明する。
従来は疎水性の高いセグメントを持つものが膜タンパクになると考えられていたが、それだけではなく、タンパク質の長さも重要な因子であることがわかった。
この成果は SOSUI というプログラムとして公表されている。
- 膜タンパク質の膜貫通ヘリックス領域を予測する
膜タンパク質には膜を貫通する幾つかのヘリックスの部分と、それらを繋ぐループの部分がある。
ヘリックスの両端にあたる部分には、長い疎水鎖の端に強い極性を持つアミノ酸(アルギニン・リジン・ヒスチジン)が多く存在することを使うと、アミノ酸配列のうちどの部分がヘリックスとなるかを予測することができる。
- バクテリオロドプシンの安定性実験
物体の内部構造を調べるには外力によってそれを破壊する方法が有力である。
そこで、バクテリオロドプシンという膜タンパク質がどのような仕組みで特定の構造を取るかを調べるために、アルコールを加えてその構造を破壊する実験を行った。
その結果、ヘリックス間を結び付けているのは極性の強い部分の間のクーロン力ではないかと示唆された。
- 膜タンパク質の立体構造予測の試み
上の結果に基き、ヘリックス部分を極性が分布した筒に疎視化してしまったモデルを作り、計算機によってエネルギー最低の状態を探索した。
その結果、バクテリオロドプシンの構造をよく再現することができた。
なお、美宅氏による
コロキウム
にも是非お越し下さい。
場所: 青山学院大学 理工学部 一号館 5階 1538号室
日時:1月28日(金) 16:30--18:00
講演題目: ゲノム情報から膜タンパク質の構造/機能推定
要旨:
生物は、部品としての生体高分子(機能単位としてはタンパク質)と多種多様な部
品で構成される巨大なシステムで特徴付けられている。その中で部品としてのタ
ンパク質の構造と機能の問題は、物理化学の問題であると考えられる。最近ゲノ
ム解析が進み、部品の完全なカタログ(アミノ酸配列の集合)が得られるようにな
ってきた。私たちは、部品のカタログからその構造と機能を予測を試みており、現
状を紹介したい。