講演者:吉岡 伸也 氏(大阪大学大学院生命機能研究科) 日時:11月 9日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「鮮やかな生物が持つ微細構造と発色現象」 要旨:  身近な昆虫、タマムシを代表例として、自然界の多くの生物が輝くような色を 持っている。これらの色は、色素分子による光吸収ではなく、波長サイズの微細 構造にその起源があるため”構造色”と呼ばれている。構造色の研究の歴史は非常 に古く、ニュートンを初めとして多くの科学者達がこれまで注目してきた。20世 紀の初頭には、当時既に確立していた電磁気学によって、光の干渉が生み出す波 長選択的な反射が構造色の起源であることが指摘された。その後電子顕微鏡が開 発されると、周期的な微細構造が実際に発見されたため、光の干渉が寄与してい ることは間違いないものとなった。しかし、実際の生物が持つ微細構造は、多く の場合極めて複雑な形状を持っている。最近の研究により、それらの構造は、単 純な光の干渉だけではなく、様々な光学効果を生み出して総合的に色をつけてい ることが明らかになってきた。いくつかの例を挙げながら、生物の持つ微細構造 とその発色現象について紹介する。 ---------------------------------