講演者:能川 知昭 氏(東北大学大学院理学研究科数学専攻) 日時:11月 16日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「磁場中Josephson接合配列におけるjamming転移の特異性」 要旨:  磁場中のJosephson接合配列における異方性の効果に関する研究について報告す る。ここでいう異方性とは、縦と横の素子をつなぐ接合の結合定数の比のことで あり、縦横の相互作用の競合、すなわちフラストレーションを調整するパラメー タになっている。我々は、このようなパラメータの変化に対する系の応答を調べ ることによってフラストレーションと、それがもたらす広い意味でのガラス的な 性質の関係を理解することを目指している。 この系の外部電流に対する応答は粉粒体系のレオロジーと対応関係があり、異方 性を変化させると、臨界電流(降伏応力)の有無によって特徴づけられる jamming転移が見られる。興味深いことにjamming点とは異方性のない等方系が対 応している。本講演では電流のない基底状態の性質を中心に考察し、jamming点 で起こる「hull関数」の解析性の破れについて議論する。これは1次元不整合界 面の摩擦を記述するFrenkel-Kontrova modelで知られているAubry転移の2次元版 である。また転移点で発散する静的長さスケールを定義する方法についても説明 する。 Tomoaki Nogawa, Hajime Yoshino and Bongsoo Kim, Physical Review E 85, (2012) 051132. ---------------------------------