講演者:齊藤 圭司 氏(東京大学理学部物理学科) 日時:12月 16日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「非平衡揺らぎの普遍性と多様性」 要旨:  非平衡統計力学は、最近非平衡揺らぎの分類に関して目覚ましい進展 をみせている。非平衡関係式の相次いだ発見に伴い、理論実験双方盛ん な研究がなされている。本講演ではこれらの簡単なレビューを行った後、 最も簡単な非平衡定常現象である熱伝導現象に焦点をあて、非平衡揺ら ぎの分類に関する最新の進展を紹介する。特に解析がきれいにできかつ 現実的な系である調和格子を使って、熱輸送現象を調べ、その普遍的な 性質を探る試みを紹介する。調和格子は簡単ではあるが、高次元になる と弾道的な輸送はもちろん、異常輸送また正常輸送も示すなど、様々な 非自明な輸送現象を示す。それゆえ、調和格子上でのカレント揺らぎの 一般的性質を調べることは、非平衡統計力学を考える上で重要なテーマ になってきている。本講演ではカレント揺らぎを生成する生成関数の一 般式の導出をし、またその公式を使ってデリダらにより予言されている 相加性原理の考察をする。 参考文献 PRE vol.83 041121 (2011),arXiv:1106.2907 [PRL (2011) in press] ---------------------------------