講演者:浅野 勝晃氏 (東京工業大学 理工学研究科 基礎物理学専攻) 日時:7月 1日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「ガンマ線バーストの放射機構」 要旨: ガンマ線バーストは宇宙最大の爆発現象だが、その正体は全くわかっ ていない。標準的なシナリオでは、大質量星がその一生の最後に重力 崩壊し、ブラックホールの形成と共に光速ジェットを噴き出す現象だ と思われている。1MeV程度を典型エネルギーとするガンマ線放射が10 秒程度続き、放出されるエネルギーの総量は太陽の静止質量エネルギ ーに匹敵する。この即時放射の後、星間空間を伝播する衝撃波がX線 や可視光のダラダラと続く放射をもたらす。 ガンマ線即時放射のメカニズムも謎に包まれているが、最近打ち上げ られたFermiガンマ線宇宙望遠鏡が新たなヒントを提供している。GeV 光子はMeVに比べて遅延して始まる傾向があり、MeV領域とは異なった スペクトル成分であるようだ。 本講演では、これらの最近の観測的進展を踏まえ、なるべく偏見を排 してガンマ線バースト即時放射モデルをレビューする。それぞれのモ デルの長所短所を意識した上で、GeV放射を説明する我々の数値シミュ レーション結果を紹介する。要求されるプラズマのエネルギー散逸の メカニズム、及びガンマ線バーストからの超高エネルギー宇宙線生成 などについても議論する。 ---------------------------------