講演者:多々良 源 氏(首都大学東京) 日時:6月 4日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「スピン流はどこまで制御できるのか? -- スピン流制御の微視的理論」 要旨:  近年スピンの流れ(スピン流)の物理が、そのデバイス応用(スピントロニクス) の観点から注目され、盛んに研究されている。スピン流の応用のためには、スピン 流の生成と輸送、また既存のエレクトロニクスとの接点に不可欠な電流ースピン流 変換を確立することが必要である。現状では、既にそれら全てに多くの興味深い提 案がされており、実験的にはスピン流制御は確立してきている。例えば、強磁性金 属では電流には必然的にスピン流が伴うし、非磁性体では電場とスピン軌道相互作 用を用いたスピンHall効果を用いることでスピン流は生成できる。また、磁化の運 動はスピン流の生成も伴うことが知られており、これを用いると強磁性体と非磁性 体の接合で、非磁性体内にスピン流を注入することが可能である(スピンポンピング)。 最近では円偏向の光を用いたり、温度勾配を用いたスピン流生成(スピンSeebeck効 果)も実現されている。スピン流ー電流変換はスピン軌道相互作用を用いて可能であ ることも確認され、この逆スピンHall効果はスピン流の検出に盛んに用いられている。 講演では、こうした現象の実験的側面及び理論的理解がどこまで進んでいるかを紹 介し、スピン流制御における課題などを議論する。 参考文献 [1] Diffusive versus local spin currents in dynamic spin pumping systems Akihito Takeuchi, Kazuhiro Hosono, and Gen Tatara Phys. Rev. B 81, 144405 (2010) . [2] Perturbation Theory of the Dynamic Inverse Spin Hall Effect with Charge Conservation Kazuhiro Hosono, Akihito Takeuchi, and Gen Tatara J. Phys. Soc. Jpn. 79, 014708 (2010) . ---------------------------------