講演者:望月 維人 氏(東京大学工学系研究科物理工学専攻) 日時:10月 1日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「マルチフェロイックMnペロフスカイトにおける電気磁気現象の微視的理論」 要旨:  近年、多くの磁性強誘電体(マルチフェロイックス物質)が発見され、 スピンと電気分極の結合に由来した多彩で劇的な物理現象が相次いで 報告されている。このような物質中の電気磁気結合と交差相関物性は、 「電荷、スピン、軌道、格子といった多自由度の競合・協調」と 「スピンのフラストレーション」がもたらす興味深い物理を内包して いるが、実験の急速な進展に対して、その理論的な理解は非常に遅れ ている。今回、我々は典型的なマルチフェロイック物質である希土類 Mnペロフスカイト(RMnO3)の微視的かつ精密なモデルを構築し、この 物質が示す電気磁気現象の全容を解明した。 具体的には、「スピン交換相互作用のフラストレーション」と 「Dzyaloshinskii-守谷相互作用と磁気異方性の競合」を考慮した微視的 モデルを構築し、レプリカ交換モンテカルロ法や時間発展方程式の数値 計算により解析した。その結果、実験的に得られている相図を再現し、 「電気分極フロップ」や「電場誘起マグノン励起」、「巨大誘電応答」 といった興味深い現象の機構と物理を明らかにしたのでお話しする。 ---------------------------------