講演者:古賀 昌久 氏(東京工業大学理工学研究科) 日時:11月 12日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「光格子フェルミ粒子系における超流動状態」 要旨:  近年の冷却技術の発達により、ルビジウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ原子集団を空間的に閉じこめた冷却原子系が理論的にも実験的にも注目されている。中でも格子ポテンシャル中に閉じ込められた光格子フェルミ粒子系においては、超流動状態、モット絶縁体状態など多彩な強相関量子物性が観測されており、ホットトピックスのひとつとなっている。これらの系の低温物性は、理論模型の一つである単一ハバード模型により良く記述されることから、光格子系は理論模型の量子シミュレータとしても考えられている。最近では多成分のハバード模型[1,2]や局在スピンを持つ近藤格子模型[3,4]で記述される冷却フェルミ粒子系の実現が期待されており、理想的な格子模型における低温物性が注目されている。 本講演では、引力相互作用を持つ光格子フェルミ粒子系に注目し、局所相関効果を正確に取り込むことのできる動的平均場近似を用いて低温物性について解析を行う。ここでは、南部形式に基づく連続時間量子モンテカルロ法[5]を用いて有効不純物模型を数値的に解き、超流動状態がどのように実現しているかについて議論する。また、調和振動子型閉じ込めポテンシャルの効果についても議論する予定である。 [1] T. B. Ottenstein, T. Lompe, M. Kohnen, A. N. Wenz, and S. Jochim: Phys. Rev. Lett. 101 (2008) 203202. [2] J. H. Huckans, J. R. Williams, E. L. Hazlett, R. W. Stites, and K. M. O'Hara: Phys. Rev. Lett. 102 (2009) 165302. [3] A. V. Gorshkov, M. Hermele, V. Gurarie, C. Xu, P. S. Julienne, J. Ye, P. Zoller, E. Demler, M. D. Lukin, and A. M. Rey: Nat. Phys. 6 (2010) 289. [4] M. Foss-Feig, M. Hermele, and A. M. Rey: Phys. Rev. A 81 (2010) 051603. [5] A. Koga and P. Werner: J. Phys. Soc. Jpn. 79 (2010) 064401. ---------------------------------