講演者:磯部 洋明 氏(京都大学宇宙総合学研究ユニット) 日時:12月 17日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「プラズマ実験室としての太陽」 要旨:  まず現代太陽物理学が何を対象としているかを概説する。太陽では黒点、 プロミネンス、コロナ、フレアなど、磁場とプラズマの相互作用に起因する 多様な現象が起きている。これらの磁気的活動現象のメカニズムとその地球 及び太陽系全体への影響を明らかにすることが現代太陽物理学の主要な課題 である。太陽と類似の磁気的活動現象は、惑星磁気圏、降着円盤、銀河など 様々なスケールの天体で普遍的に起きており、詳細な観測のできる太陽の研 究は他の天体現象を理解する基礎でもある。 次に「ひので」を中心として最近の太陽観測の主要な成果をいくつか紹介す る。特に注目すべき発見は、太陽表面(光球)と高温コロナの間にある彩層 でも、非常に複雑でダイナミックな活動現象が起きていることである。彩層 の活動現象でもコロナと同じく、磁気リコネクション(磁力線再結合)によ る磁気エネルギーの急激な散逸が起きていると考えられるが、弱電離、衝突 性プラズマである彩層は完全電離、無衝突プラズマであるコロナとプラズマ としての性質が大きく異なる。従って、様々な物理状態にある太陽大気は、 磁気リコネクション・磁場散逸の格好の実験場でもある。 そこで講演の後半は、磁気リコネクション研究の最新成果を、私が最近取り 組んでいる弱電離プラズマの効果を中心に紹介する。弱電離プラズマとして の星・惑星形成領域との関係も議論する。 ---------------------------------