講演者:井上 剛志 氏(青山学院大学理工学部) 日時:11月 5日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「星間媒質を伝わる衝撃波のダイナミクスと高エネルギー宇宙線加速」 要旨:  地球には宇宙のどこかで超相対論的エネルギーにまで加速された宇宙線が 降り注いでいることが知られているが、その加速器の有力候補が超新星残骸 である。超新星残骸とは星がその一生を終える際に発生する大爆発であり、 爆発で発生するマッハ数が1000にも達する衝撃波が陽子や電子を加速するこ とが知られている(Fermi機構)。宇宙線はその構成要素の大部分が陽子 (核子)であることが知られているが、超新星残骸で陽子が加速されていると いう直接的証拠はまだ挙っておらず、超新星残骸が本当に陽子加速機である かどうかについては論争の最中である。近年、電波からガンマ線に至るまで の多波長観測の進展によって、超新星残骸自体やその周辺プラズマの物理 状態が明かになってきており、我々は観測が示唆する現実的な周辺プラズマ を設定した場合の超新星衝撃波のダイナミクスを数値シミュレーションの 手法で研究している。当日はこれらの背景に加えて、観測されているにも 関わらず従来の理論では理解しがたかった強烈な磁場増幅や弱いX線輝線 放射強度等の諸現象が、我々のシミュレーションでは容易に再現されること を説明する。また、超新星残骸の高分解能多波長観測を行うことによって、 陽子加速の是非を判別する手法を紹介する。 ---------------------------------