講演者:阿部 文快 氏(青山学院大学理工学部 化学・生命科学科) 日時:5月 7日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「微生物の高圧適応と圧力生理学が目指すもの」 要旨:  私たちが住む地球の表面は約7割が海で覆われ、その平均深度は3,800m に達します。380気圧もの水圧がかかる高圧環境でなぜ深海生物は生きて いられるのでしょうか?その生理生態に興味が注がれています。しかしな がら、そもそも圧力が生物に対してどのような影響を及ぼすのか、その効 果を系統的に調べた例はほとんどありませんでした。そこで私たちは、モ デル生物である酵母を用いてこの問題に取り組んできました。出芽酵母は 真核生物で最も早くゲノムが解読された生き物で、ヒトの発生や癌の研究 にも大きな貢献をなしてきました。本発表では、(1)高圧下における酵 母トリプトファン輸送体のユビキチン(76アミノ酸からなる小さなタンパ ク質でヒトも持っている)依存性の分解機構、(2)網羅的解析から明ら かになった高圧増殖遺伝子群、および(3)生体膜の動的構造といった観 点から、前職の(独)海洋研究開発機構で行ってきた研究について紹介し ます。また、自ら名付けた“圧力生理学(Piezophysiology)”という研 究領域が目指すところ、そして青山学院大学での今後の展開についてもお 話しします。 ---------------------------------