講演者:茂山 俊和 氏(東京大学ビッグバン宇宙国際研究センター) 日時:6月 3日(月) 午後2時00分から (*いつもと曜日・時間が異なります) 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「恒星の元素組成から迫る元素の起源」 要旨:  私たちが日常触れている、あるいは私たち自身の体を構成 している物質がいつどのように合成されたか、星のスペクト ルから導き出した元素組成を理論的に解釈することで、その 起源を探る研究の一端を紹介する。 宇宙は137億年前にビッグバンで始まり、膨張を続けている。 その結果として、宇宙が熱かった最初の数分間に水素、ヘリ ウム、リチウムが合成された。しかし、我々に身近な元素で ある炭素、窒素、酸素、・・・、鉄、・・・、銀、金、鉛、 ウランなどはこの時には合成されなかった。これらの元素は 星の中の核融合反応によって長い時間をかけて合成される。 どんな星がどんな元素を供給するのかを調べるのに適した星 がある。太陽のように銀河が形成されてから時間が経って生 まれた星の元素組成は過去に様々な星が合成放出したものの 混ぜ合わせである。それに対して、銀河誕生直後に生まれ、 今も輝いている年老いた星なら超新星爆発で放出した元素の 情報を他の星から放出された元素に混ざることなく持ってい ると期待される。このような星の元素組成から理論的な考察 によって元素の供給源を特定していくと、銀河系における元 素組成の変化の様子と超新星爆発での元素合成に関していく つかのことが分かってきたので、紹介する。年老いた星は銀 河系ハローにある。ハローにある古い星の集団である球状星 団の観測結果がもたらしたヘリウムに関する最近の話題にも 触れる。 ---------------------------------