講演者: 波多野 恭弘 氏(東京大学地震研究所) 日時:4月 17日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「粉体の摩擦:粒子の協同運動とジャミング転移」 要旨:  摩擦は自然科学におけるもっとも古い問題の一つであるが、 現在でも物性物理や機械工学をはじめとする様々な分野において 新しい問題を生み出し続けている。 たとえば地球科学では岩石の摩擦法則が30年以上も活発に研究されており、 現在でも新しい現象が次々発見されている。 他方、統計物理の観点からは、摩擦はエネルギー散逸を伴う非平衡現象の典型例 であり、履歴依存性や力学的不安定性など多彩なダイナミクスの宝庫でもある。 ここでは、統計物理と地球科学の境界領域に位置する話題として 粉体の摩擦法則を取り上げる。まず現在スタンダードとされている現象論的な 摩擦法則をレビューしたのち、最近のシミュレーションで発見された 新しい動摩擦特性とその実験的検証を紹介する。 最後に、摩擦を受けて押し合いへしあいの状態になっている粉体の粒粒が 実際どのように運動しているか、その協同運動的機構と背後にある臨界現象 (ジャミング転移)について簡単に紹介する。 1.摩擦法則スタンダード 2.動摩擦係数の速度依存性:シミュレーションと実験 3.粉体粒子の協同運動:動的相関長とジャミング転移 ---------------------------------