講演者:中村 敏和氏(分子科学研究所) 日時:10月 23日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「磁気共鳴法による一次元有機導体TMTCF系の電子状態研究」 要旨:  一次元有機導体は,その基本的な性質はかなり理解が進んできたが, 多彩な基底状態が競合しており,低次元強相関電子系のモデル物質 として今なお盛んに研究されている. 1/4-filledバンド充填であるTMTCF系と称される物質群では, 電荷秩序相や競合基底状態の発見など近年再び注目を集め,我々も 主に磁気共鳴の観点から研究を行ってきた.加えて最近,糸井らにより, 一般化相図の最陰圧領域に位置する(TMTTF)2AsF6 や(TMTTF)2SbF6において超伝導が発見され,スピン一重項状態が 2つの反強磁性相に挟まれているという修正一般化相図が提唱された. 一方同時に,リエントラント反強磁性相の是非や異常超伝導相の起源など, 新たな未解決な問題も生じている.我々はこの修正一般化相図の是非, 基底状態や常磁性相の詳細な電子状態を理解するために,高圧下での 13C-NMR測定や種々の物質の開発ならびに構造解析,磁気測定を行っている. 本講演では,TMTCF系における研究概要を述べた後,競合する多彩な基底状態に 関する我々の磁気共鳴測定(NMR,ESR)による研究結果を紹介する. ---------------------------------