講演者:望月 優子 氏(理化学研究所仁科加速器研究センター/埼玉大学大学院) 日時:11月 27日(水) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「南極氷床コアからさぐる超新星の痕跡と太陽活動周期」 要旨:  氷床コアは、雪が堆積した時代の大気成分を含んでおり、深度と年代とが 一対一に対応したいわば過去からのタイムカプセルである。我々は 国立極地研究所と協力し、南極大陸の内陸にある日本の基地「ドームふじ」 において掘削された氷床コアを用いて、過去の銀河系内超新星の痕跡と 太陽活動の履歴を調べてきた。氷床コア中の硝酸イオンをプローブとして 高精度・高時間分解能の定量分析を行なった結果、第一段階として11世紀に 出現したSN1006とカニ星雲と呼ばれる2つの超新星の候補シグナルと、 10−11世紀にかけての太陽活動周期であろうと考えられる11年の周期性が 見いだされた。また、まだ予備的な結果ではあるが、人類有史過去2000年に 相当する分析から、他の歴史上の超新星の候補となり得るシグナルが年代決定の 不定性の範囲内で数個、同定されている。本セミナーでは、これらの結果をご紹介し、 分析の信頼性、解釈の妥当性について物理的・化学的観点から議論する。 ---------------------------------