講演者: 斎藤 弘樹 氏(電気通信大学 量子・物質工学科) 日時:10月 3日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「スピン自由度を持つボース・アインシュタイン凝縮体における キッブル・ズレック機構」 要旨:  中性原子気体をレーザー冷却などの技術を用いて超低温に冷却し、ボース・アイ ンシュタイン凝縮させる実験が1995年に実現されて以来、精力的に研究が行 われてきた。本講演では特にスピン自由度を持つ原子のボース凝縮体に着目し、 キッブル・ズレック機構との関連についてお話しする。 スピン自由度を持つボース凝縮体は、原子一つ一つが磁石としてふるまう、いわ ば磁性超流動体である。最近、この系を磁性を持たない状態から強磁性相へと相 転移させ磁化ダイナミクスを見るという実験が行われ、注目されている。一方、 キッブル・ズレック機構とは本来、宇宙初期の真空の相転移において磁気モノポ ールなどの位相欠陥が生成される機構として提案された。当然、宇宙の相転移な どという現象は実験することができないため、キッブル・ズレック機構を検証す るための身近な物理系が模索されてきた。本講演ではボース凝縮体の磁性相転移 においてキッブル・ズレック機構が出現することを示す。 ---------------------------------