講演者: 大槻 道夫 氏(青山学院大学理工学部 物理・数理学科) 日時:10月 24日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「粉体系の「臨界現象」」 要旨:  砂や粉などは、粉体と呼ばれ、その特徴的な振る舞いに注目が集まっている。 粉体は密度が低い場合は通常の流体のように流動するが、密度がある値を超え て高くなると流動性を失い、固体のように振る舞う。この転移現象は、ジャミ ング転移と呼ばれ、ある種の臨界現象と考えられる事から、その重要性が広く 認識されている。 近年、ジャミング転移点近傍での粉体シミュレーションにより、剪断応力とひ ずみ速度の間に、臨界現象でみられるような、美しいスケーリング則が成立す る事が発見された[1]。我々は、このスケーリング則にあらわれる臨界指数を、 平均場的な理論によって決定した。さらにこの結果を、複数の次元の分子動力 学シミュレーションで検証し、平均場理論で決定した指数の値が、全ての次元 で妥当である事を示した[2]。 [1] T. Hatano, arXiv:0803.2296 [2] M. Otsuki and H. Hayakawa, arXiv:0809.0171 ---------------------------------