講演者: 岡部 豊 氏(首都大理工) 日時:11月 7日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「画像修復問題へのモンテカルロ法の応用」 要旨:  統計力学の問題として画像領域分割をとりあげる。その扱いの一つとして、 Mumford-Shahエネルギーモデル [1] があるが、それは画像領域分割の問題を、 エネルギーの最小値探索問題へと読み替えるものである。 このエネルギーモデルは有効なものであり、主に数学者により精力的に その解法が調べられてきたが、どれも、時間がかかる、局所解につかまる、 などの問題を抱えている。我々は、この問題をPottsモデルに複雑な非線形項の 加わった系として定式化し、モンテカルロ法を用いて最小値探索問題を 扱う方法を提案する。ブロックスピン変換のアイディアの利用、 Edenクラスター成長の応用などの計算手法上の工夫をすることにより、 効率よく画像領域分割を実現することに成功した。 具体的に、腫瘍のある脳のMRI画像の腫瘍部分の抽出を例に示す。 また、他の画像処理の問題として、画像修復におけるハイパーパラメータ推定 の問題をモンテカルロ法で扱う。特に、状態密度を直接計算する Wang-Landau法 [2] を用いて尤度関数を直接評価する方法を議論する。 [1] D. Mumford and J. Shah, Commun. Pure Appl. Math., 42, 577 (1989). [2] F. Wang and D. P. Landau, Phys. Rev. Lett. 86, 2050 (2001). ---------------------------------