講演者: 峰崎 岳夫 氏(東京大学大学院理学系研究科) 日時:11月 17日(月) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟5階 L506室 題目: 「変光から探る活動銀河核中心部の構造と放射機構」 要旨:  活動銀河核とは銀河の中心部に存在する巨大ブラックホールへの 質量降着によって解放される位置エネルギーを源として、X線、 紫外線、可視光、赤外線から電波まで、広い波長域において強力な 放射が生じている現象である。活動銀河核は宇宙初期から現在まで あまねく存在しており、銀河の形成・進化にも関与していると考え られている。すなわち活動銀河核の研究は、現象自体の特異な性質 のみならず、宇宙・銀河の進化の観点からも重要である。  活動銀河核のX線、紫外線・可視光、赤外線はそれぞれ、ブラック ホール近傍の高温コロナ、ブラックホール周囲の降着円盤、それらを 取りまくダストトーラスから放射されていると考えられている。 しかしこれら活動銀河核中心部は極めて小さいため、撮像観測に よって直接的にこれらを確認したものはいない。ところが活動銀河核 の放射の時間変動=変光現象を利用して、活動銀河核中心部の構造 や放射機構を探ることが可能であり、これまでにもさまざまな研究 が行われてきた。実際、変光現象は活動銀河核一般の性質として知 られており、それこそは放射領域が極めて小さいことを示している。  我々は口径 2m の光赤外線望遠鏡をハワイ・ハレアカラ観測所に 設置し、2001年から2008年までの長期間にわたり、多数の活動銀河核 について可視光および近赤外線波長域での多波長モニター観測を 行ってきた。本講演では、我々のモニター観測から得られた結果を 中心に、活動銀河核のX線、紫外線・可視光、赤外線の変光の性質や 異なる波長での変光の相関の研究について紹介し、これらの結果から 明らかになってきた降着円盤やダストトーラスなど活動銀河核中心部 の構造と放射機構を議論する。さらにいまだに解明されていない 活動銀河核放射の変光メカニズムに迫りたい。 ---------------------------------