講演者: 小谷 太郎 氏(青山学院大学理工学部) 日時:5月 23日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「マイクロクエイザーの多波長観測」 要旨:   マイクロクエイザーは、ブラック・ホールなどの高密度星と、普通の (でな い場合もある) 恒星との連星系で、高温プラズマを相対論的な速度でジェット 噴射する特異な天体である。恒星からガスがラグランジュ点を越えて高密度星 に流れ込むとき、高密度星近傍において、何らかの機構によってガスの重力エ ネルギーがジェットの運動エネルギーに転換され、ガスの一部が噴射されると 考えられているが、その加速機構、ガス流を細く絞る機構など、基本的な物理 が未解明である。 ジェットの根本 10^13 cm程度の高温部は、X線を熱的放射あるいはシンク ロトロン放射し、ジェットの末端、>10^15 cmでは、電波がシンクロトロン 放射される。また高密度星の周囲に形成される降着円盤は可視光を熱放射する。 したがってマイクロクエイザーの活動をとらえるには、多波長観測が重要とな る。 我々はX線、可視光、電波の天文台と協力して、マイクロクエイザーの多波 長観測キャンペーンを行なってきた。電波観測にはロシアの直径600mの電波望 遠鏡RATAN-600、野辺山電波観測所のNobeyama Millimeter Arrayと45 m鏡など と協力し、X線観測にはRXTEやすざくなどを用い、可視光観測には国内外の多 数の観測所の参加を得た。観測対象にはCyg X-3、SS~433、GRS~1915+105など、 活発に活動している天体を選んだ。これらの観測キャンペーンについて報告す る。 ---------------------------------