講演者: 鈴木 隆史 氏(東大物性研) 日時: 4月 27日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「格子モデルに基づく超流動固体相の探索」 要旨: 超流動固体とは粒子が周期的な配列を組んで固体を形成しているにもかかわら ず超流動性を示す状態を指す。近年E. KimとM. H. W. Chanが行ったヘリウム4 に対するねじれ振り子の実験で、非常に興味深い振る舞いが観測された[1]。す なわち、固体ヘリウムの回転慣性モーメントが極低温、高圧下において減少す る。この慣性モーメントの減少が固体状態から超流動固体状態への相転移を示唆 しているのではないかとして、理論、実験の両面から注目が集まっている。  超流動固体に対する理論的アプローチの一つに格子モデルを用いる方法があ る。これまで平均場近似等の手法を用いて格子モデルに対する超流動固体相の探 索が行われてきた。極最近では、三角格子上で現れる超流動固体相について、そ の秩序状態や臨界現象が数値計算によって詳しく調べられている[2]。しかし格 子形状と超流動固体状態の関係は未だ不明な点が多い。  我々は、3次元格子上を運動するボーズ粒子系に対して超流動固体相の探索を 行った。その結果、面心立方格子上をハードコアのボーズ粒子が運動する場合、 1/2-fillingと3/4-fillingに現れる固体相の間に超流動固体相が現れることがわ かった。本講演では、面心立方格子で現れる超流動固体状態のミクロスコピック な描像とそのメカニズムについて紹介する。 [1] E. Kim and M. H. W. Chan, Science 305, 1941 (2004); Nature 427, 225 (2004). [2] S. Wessel and M. Troyer, PRL 95, 127205 (2005);   D. Heidarian and K. Damle, PRL 95, 127206 (2005);   R. G. Melko, et.al., PRL 95, 127207 (2005);   M. Boninsegni and N. Prokof'ev, PRL 95, 237204 (2005). --------------------------------- 共催: 青山学院大学 理工学会