講演者: 坂井 典佑 氏(東工大理) 日時: 5月 11日(金) 午後4時45分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「統一理論とソリトン」 要旨: 素粒子理論は,自然界の基本法則を探求する学問です.これまでに 知られているさまざまの実験事実は,標準模型という理論で記述で きていますが,まだ不十分な点がいろいろあります.たとえば,強 い力,弱い力,電磁気力の三つの力の強さはまったく異なり,統一 されているわけではありません.この標準模型で予言する粒子は予 言どおりに発見され,唯一,ヒッグス粒子という粒子だけがまだ見 つかっていません.スイスのジュネーブで建設中の世界最大の加速 器LHC(Linear Hadron Collider,線形ハドロン衝突型加速器)が今 年末に完成し,ヒッグス粒子は数年以内に見つかると予想されてい ます.一方,ニュートリノが質量を持つことが神岡鉱山などの実験 で確定しました.これは標準模型が修正を要することのひとつの証 拠ともいえます. 一方,この標準模型を超えて,基本法則の統一的理解を得る試みが 続けられています.標準模型を超える統一理論の重要な候補として, 超対称理論が活発に研究されています.また,新しい可能性として, 我々の3次元空間と時間とを合わせた4次元時空がより高い次元の 時空の中に埋め込まれていると考える「ブレーン・ワールド」の仮 説が発展しています.これらの理論では,凝縮系物理にも登場する 「ソリトン」が重要な役割を果たします.ここ数年の間に,超対称 ゲージ理論のヒッグス相でのソリトン解を系統的にすべて求めると いうプロジェクトが大きく進展しました.得られるソリトンは,ド メイン・ウォール,ボーテックス,モノポール(磁気単極子),イン スタントンとそれらの複合ソリトンなどです.この研究を概観した いと思います. --------------------------------- 共催: 青山学院大学 理工学会