講演者: 中本 泰史 氏(東京工業大学理工学研究科准教授) 日時: 7月 4日(水) 午後4時30分から(いつもと曜日が異なります) 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「星・惑星系の形成過程」 要旨: 太陽系では中心に太陽という恒星があり,その周囲を惑星が回ってい る。このような星・惑星系が,太陽系の外にもある。1995年に最初に 発見され,これまでに100個以上が見つかっている。  このような惑星系はどのような性質を持っているのだろうか。どの ようにして形成されるのだろうか。そこには生命も存在するのだろうか。 当然ながら,このような問いが湧き出てきた。それらの答えはまだ分か っていないが,その問いに答えるべく,世界中で研究が進められている。  本コロキウムでは,星・惑星系の形成過程を出来るだけ物理的な視点 から紹介することを試みる。  星は,星間雲が重力収縮して誕生する。その際,同時に原始惑星系円 盤というものが誕生する。星の周囲を取り巻く円盤状の天体である。こ の円盤の中から惑星が誕生すると考えられている。そして,円盤内で起 こる様々な現象が,出来上がる惑星の性質を決めることになる。すなわ ち,ある場合には地球のような固体惑星になり,ある場合には木星のよ うなガス惑星になる。またある場合には,地球のように液体の水をその 表面に保持することが出来る惑星も出来るだろう。  このような惑星系形成過程を概観した後,私自身が研究対象としてい る円盤内固体微粒子の進化について,少し詳しく紹介したい。円盤内固 体微粒子の中には,加熱を受けて溶融し,その後,球形に再固化したも のがある。それらは隕石中の組織として観測され,コンドリュールと呼 ばれている。この加熱過程は原始惑星系円盤内で起こったと考えられる が,その詳細は未解明である。このコンドリュールの成因に対し,私た ちが考えている衝撃波加熱モデルを紹介する。そうして,原始惑星系円 盤の様子に思いをはせてみたい。 --------------------------------- 共催: 青山学院大学 理工学会