講演者: 増田 哲 氏(京都大学大学院理学研究科COE特任研究員) 日時: 7月 13日(金) 午後4時30分から  場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「パンルヴェ方程式および離散パンルヴェ方程式の特殊解」 要旨: パンルヴェ微分方程式とは,新しい特殊函数を見つけようという動機のもと, 19世紀末に提出された「動く分岐点を持たない」6つの2階非線形常微分方 程式の総称である.その解は楕円函数や超幾何函数の一般化として捉えられ, 代数,解析,幾何を問わず,さまざまな側面から活発に研究されている.また, 離散パンルヴェ方程式は,連続極限においてパンルヴェ微分方程式に帰着する 2階非線形常差分方程式のあるクラスの総称であるが,現在では,ある意味で パンルヴェ微分方程式を含む,より基本的な対象として捉えられている. パンルヴェ方程式および離散パンルヴェ方程式には,方程式中のパラメータが 特別な値をとる場合に,超幾何函数あるいは代数函数で表される解が存在する. 私は,こうした特殊解の行列式表示を具体的に構成するという研究に取り組ん できた.それは,(離散)パンルヴェ方程式が無限次元可積分系と密接な関連 を持ち,その可積分系研究の歴史においては,しばしば,特殊解(の行列式表 示)についての知見を積み上げることで統一的な描像が明らかになってきた経 緯を踏まえてのことである. 本講演では,パンルヴェ方程式および離散パンルヴェ方程式の特殊解について, これまで明らかになったことについて概略を述べるとともに,現在進展中の話 題についても触れる. --------------------------------- 共催: 青山学院大学 理工学会