講演者: 金井 政宏 氏(東京大学数理科学研究科) 日時: 1月 11日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「交通流の数理〜ソリトン理論と渋滞学〜」 要旨: 交通流研究の対象は,自己駆動粒子と呼ばれる,ニュートン力学の運動の法則に従わず状況に応じて 自ら行動を律する個体である.そして,これら自己駆動粒子が一定方向に運動する多体系においては, 運動の非対称性,粒子の体積による排他性,反応の遅れなどによって独特な集団現象が観測される. 渋滞はその典型的な例であり,その発生と解消の過程は自己駆動粒子に特有のダイナミクスによるもの と考えられる. 交通流のモデル化には,決定論または確率論,連続または離散の組み合わせがあり,確率論に基づく モデルは非平衡統計力学系の典型的な例として盛んに研究されている. 一方で,決定論に基づくモデルについてはソリトン理論に基づいた厳密解の研究も行われている. 今回の講演では,ソリトン方程式の研究から生まれた「広田の方法」「超離散化」についての解説から 始めてこれらを応用した交通流の研究を紹介する. --------------------------------- 共催: 青山学院大学 理工学会