講演者: 林田 清 氏(大阪大学大学院理学研究科 准教授) 日時:12月 7日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「X線天体の偏光観測 -- 現状と将来計画 -- 」 要旨:  X線天文学は、ハッブル宇宙望遠鏡に匹敵する角度分解能を達成し、彗星から 宇宙の果ての銀河まであらゆる天体を観測対象にするところまで発展している。 ところが、様々な波長域ではありふれた観測手段になっている偏光測定という面 では立ち遅れており、有意なX線偏光度の検出はかに星雲(1054年の超新星の残骸) のみという状況が30年以上にわたって続いてきた。近年、この状況を打開するための 動きが世界的に活発になっており、大きなブレークスルーが期待されている。 本講演では、まず、X線天体(ブラックホール、中性子星、超新星残骸など)からの 放射が偏光を生じるメカニズムと、それを測定することで明らかになる天体の磁場、 幾何学構造、輻射機構をいくつかのパターンに分けて説明する。 続いて、天体観測用に開発されている代表的なX線偏光検出器の原理に関して概説す る。 その具体的な例として、我々が2006年に実施したかに星雲の硬X線偏光観測気球実験 (PHENEXプロジェクト)に使用した偏光計と、その観測結果ついて紹介する。 最後に、将来計画として検討している小型衛星Polarisの概要を紹介し、 X線天文学における偏光観測について今後10年程度の見通しを述べる。 --------------------------------- 共催: 青山学院大学 理工学会