講演者： 瀧本　哲也 氏（阪大基礎工）
日時： ６月　１６日（金）　午後４時３０分から
場所： 青山学院大学　理工学部（相模原キャンパス）Ｌ棟６階　Ｌ６０３室

題目：「PrRu4P12 における反強十六重極子秩序」

要旨： 
近年、スクッテルダイト化合物の様々な現象に対して、集中的な研究が行われ
ている[1]。これらの化合物の中で、PrRu4P12 は T_MI=60K において金属絶縁
体転移を示すことで知られている[2]。最近の実験から、T_MI を境に高温相の
BCC 構造から低温相の SC 構造へと構造転移をしていることが報告されている
[3,4,5]。また、この構造転移に伴い、Pr イオンの結晶場準位が激しく変化し
ていることが中性子散乱実験によって観測された[6]。これらの実験結果は Pr
スクッテルダイト化合物の新たな異常物性として注目されている。

我々は PrRu4P12 の金属絶縁体転移に対して、j-j 結合の観点から理論的研究
を行い、局所的な対称性を破らない反強十六重極子秩序を提案した[7]。この
シナリオは T_MI 以下の結晶場準位の変化も矛盾無く説明することができる。


[1] Y. Aoki, et al., J. Phys. Soc. Jpn. 74 (2005) 209.
[2] C. Sekine, et al., Phys. Rev. Lett. 79 (1997) 3218.
[3] C. H. Lee, et al., Phys. Rev. B70 (2004) 153105.
[4] D. Cao, et al., Phys. Rev. Lett. 94 (2005) 036403.
[5] K. Iwasa, et al., J. Phys. Soc. Jpn. 74 (2005) 1930.
[6] K. Iwasa, et al., Phys. Rev. B72 (2005) 024414.
[7] T. Takimoto, J. Phys. Soc. Jpn. 75 (2006) 034714.

---------------------------------
共催：　青山学院大学　２１世紀COEプログラム