講演者: 大橋 洋士 氏 (筑波大物理学系) 日時:  6月 7日(火) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目:「New fermion superfluidity and the BCS-BEC crossover in a trapped gas of Fermi atoms with a Feshbach resonance」 要旨: 2004年に入り、フェルミ原子ガスの超流動化がカリウム40、リ チウム6原子を用いて相次いで達成された。 この新しいフェルミ粒子 系超流動は、フェッシュバッハ共鳴と呼ばれる、従来のもの(超伝導、 液体ヘリウム3)とは全く異なる機構で発現しており、また、対形成相 互作用の強さを自在に制御できるというこの系の画期的な特徴により、 いわゆるBCS−BECクロスオーバー(相互作用を強くするにしたがって、 超流動の性質が弱結合BCS的なものから、転移温度以上で形成されたク ーパー対のボーズ凝縮へと連続的に移行する現象)の観測が可能となっ た。 更に、超流動転移温度はフェルミ縮退温度の20%にまで到達し ており、金属超伝導に対応させると、Tcがかるく室温を越える「超高温 超伝導」が実現したことに相当している。 本講演では、この新しいフェルミ粒子系超流動について、フェッシュ バッハ共鳴機構、可変な相互作用によるBCS−BECクロスオーバー、また、 励起スペクトルや強結合領域におけるクーパー対「分子」の性質、光学 トラップポテンシャルの影響など、現在活発な研究がなされている項目 について、実験結果とも比較しつつ最新の研究成果を発表する。 --------------------------------- 共催: 青山学院大学 21世紀COEプログラム