講演者: 武藤 哲也 氏(島根大総合理工) 日時:  1月 13日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目:「近藤効果から重い電子系へ --- 動的平均場理論の視点 ---」 要旨: 磁性不純物を含む金属に見られる電気抵抗極小効果が、近藤によって解決され てから40年が経った。近藤効果の名で呼ばれるこの効果の本質が近藤問題と して広く研究対象となり、さらにその流れが重い電子系の研究に繋がって現在 に至る。広大な研究領域とその歴史を全て追うことはできないが、動的平均場 理論と呼ばれる理論的枠組の中で、近藤効果と重い電子系の繋がりを考えてみ たい。 動的平均場理論は、格子系における電子相関の問題を、一不純物系で の電子相関の問題、すなわち近藤問題に還元して取り扱う。格子系の電子相関 の問題の典型例として重い電子系を考えれば、近藤効果と重い電子系の繋がり の一つの側面を見ることができる。たとえば、重い電子系の磁性イオンを非磁 性イオンで希釈する実験では、電気抵抗の温度依存性において、高濃度領域で の重い電子系的な振る舞いから、低濃度領域での近藤効果的な振る舞いまで、 連続的に変化する様子が見られる。本講演では、動的平均場理論を用いて、こ のような実験に対応するモデル計算を行った結果を紹介し、動的平均場理論か ら見た近藤効果と重い電子系の関係を考察する。 --------------------------------- 共催: 青山学院大学 21世紀COEプログラム