講演者:小林 夏野 氏(青学大理工・物理・数理) 日時: 10月 21日(金)  午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「傾斜磁場下の磁場誘起スピン密度波」 要旨: 金属的な擬一次元導体である(TMTSF)2X系に伝導面に対して垂直な磁場を印加す ると電子の運動が一次元的になることより、一次元系で起こりやすいスピン密度 波転移が起こることが知られている。この現象は2次元的な系を仮定したモデル を用いて理論的にも説明されている。さらに、この物質では金属的な電子状態に ある領域の磁場下において、磁場の角度によって次元性が変化し、電気抵抗に大 きな変化が現れるLebed 共鳴という現象が知られている。これは磁場の角度に よって、一次元的だった電気伝導が層間方向(最も伝導が悪い方向)に特異的に 良くなることによって電気抵抗が共鳴的に減少する現象である。  このように(TMTSF)2X系では1次元的なものと2次元的な電子物性が競合する ことによって興味深い物性が現れる。講演では、この2種類の次元性の変化がど のように競合するかを磁気トルクを用いて測定した結果と理論的予測との比較に ついて話をする。 --------------------------------- 共催: 青山学院大学 理工学会