講演者: 川畑 史郎 氏(産総研 ナノテクノロジー研究部門) 日時: 11月 11日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目:「高温超伝導体接合における巨視的量子現象と量子摩擦」 要旨:  量子力学系が示す興味深い現象の一つがトンネル効果である。それで は、巨視的な系においてトンネル効果を観測することは可能であろうか? 1980年よりNbやAlなどのBCS型超伝導体ジョセフソン接合を舞台として巨視的 量子トンネル現象(MQT)に関する研究が行われてきた。  一方、高温超伝導体の超伝導ギャップには節(ギャップが閉じている部分) が存在するので、極低温であっても摩擦の原因となる準粒子励起が生じる。そ のため、高温超伝導体ジョセフソン接合においてMQTを観測することは困難で あろうと考えられていた。我々は高温超伝導体ジョセフソン接合のMQT及び準 粒子摩擦の影響に関して解析を行い、準粒子散逸の影響は実は非常に小さくな ることを見出した。このことは高温超伝導体が高温動作可能な量子コンピュー タになりうることを示唆している。そこで、講演においては、MQTと量子摩擦 に関する理論についてできるだけ平易に解説を行う。また、最近になって東北 大の猪股らによってBi2212固有接合を用いたMQTの観測が実際に行われた。そ こで、最近の実験研究の進展についても紹介を行う。 --------------------------------- 共催: 青山学院大学 21世紀COEプログラム