講演者:山口 昌英氏(青山学院大・理工) 日時: 5月 14日(金)  午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「WMAPとインフレーション」 要旨: 昨年の一月に発表された、WMAP衛星による宇宙背景放射の非等方性の観測 は、様々な宇宙論的パラメーターを極めて高精度に決定し、現在の宇宙の状態 を明らかにした。宇宙はほとんど平坦であること、エネルギーのほとんどは暗 黒エネルギーと暗黒物質によって占められており、バリオン(核子)は極めて わずかであること、宇宙の初期に、インフレーションと呼ばれる急激な膨張が 起き、その際に作られた小さな密度の揺らぎから現在の構造が作られたこと、 等が確かめられた。 これらの多くは、他の観測等によって予想されていたことであるが、幾つか予 想外の結果が得られた。初期の密度揺らぎのスペクトル指数が、大きなスケー ルから小さなスケールになるにつれて、一をまたいでかなり小さくなること、 星等の構造物がかなり早い時期に出来始めたこと、等である。インフレーショ ン理論によって、このような性質を説明することは、一般には極めて難しい。 このコロキュウムでは、このような性質を自然に説明することが出来るインフ レーションモデルについて考察する。 --------------------------------- 共催: 青山学院大学 理工学会