講演者: 斎藤 芳隆氏(宇宙研・JAXA大気球観測センター) 日時: 7月 2日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目: 「科学観測気球の開発」 要旨: 科学観測に用いられる大気球は、ドーム球場に匹敵するほどの大きさを もつ巨大なプラスチックの袋にヘリウムガスをつめ、成層圏に浮かぶ 飛翔体である。最も簡便に宇宙観測実験を行うことができる手段として、 宇宙線や天体観測においても大きな役割を果してきた。 気球実験は、日本では、岩手県大船渡市の気球基地より、毎年、5月、 9月に行われる。打ち上げられた気球は地上を離れると偏西風にのり 太平洋の方へと流されてゆく。20 kmを越えると風向きは逆になり、 日本列島へと戻る。日本列島に近付いたところで、気球を切り離し、 気球実験は終了する。 最近、大気球は、従来の問題点であった飛翔高度、飛翔時間の 制限を打ち破りはじめている。従来の飛翔高度は、35 km程度が典型的 であったが、高度50km以上を飛翔する超薄膜型高高度気球が登場した。 また、飛翔時間は通常一日、長くても一週間程度であったのが、 数カ月におよぶ長時間飛翔を可能にするスーパープレッシャー気球が まさに誕生しようという段階にある。大気球はより身近に宇宙を 感じられる科学観測拠点として新しい時代を迎えつつある。 本講演では、現在行われている気球観測実験を紹介するとともに 上記の新しい気球の紹介を行う。 --------------------------------- 共催: 青山学院大学 理工学会