講演者: 好村 滋行 氏(東京都立大学大学院 理学研究科) 日時:    1月14日(金) 午後4時30分から 場所: 青山学院大学 理工学部(相模原キャンパス)L棟6階 L603室 題目:「弾性殻の吸着による大変形」 要旨: 弾性的な性質をもつ薄膜は、紙や布のように非常に日常的な材料で あるとともに、その物性はソフトマターやナノテクノロジーにおい ても注目を集めている。弾性理論によると、二次元弾性体としての 薄膜の形状は伸長エネルギーと曲げエネルギーのバランスによって 決まる。その中でも、ピンポン球、フラーレン、細胞膜のように、 変形前から曲率をもつ薄膜は弾性殻と呼ばれ、二種類の弾性エネルギー の間に特異な結合が生じる。我々はこの点に着目して、弾性殻が基板に 吸着する際に生じる変形について系統的に調べた。その際、二種類の 弾性エネルギーの他に吸着エネルギーを加えて、数値的な解析を行った。 その結果、吸着の強さを変化させると、連続的な座屈と不連続的な座屈が 起こることを見い出した。弾性殻のスケーリング理論によって、この座屈 転移を説明することを試みる。 (1) K. Tamura, S. Komura, and T. Kato: J. Phys.: Condens. Matter 16, L421-L428 (2004) (2) S. Komura, K. Tamura, and T. Kato: Eur. Phys. J. E 13, 73-77 (2004) --------------------------------- 共催: 青山学院大学 理工学会