青山学院大学 物理学科 コロキウム

2002年度 第13回

下記の通りコロキウムを企画致しました。 講演者の方には、学生の方にもわかりやすいご講演をお願いしてあります。 是非ともご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。

なお、今後の予定については www.phys.aoyama.ac.jp/seminars/ を御覧下さい。 また理工学部キャンパスへの交通についてはwww.phys.aoyama.ac.jp/maps/を御覧下さい。
 

(世話人・羽田野 直道・学外からは03-5384-2642・学内からは23107)



講演者:小林 孝嘉 氏(東京大学・物理学科)

日時: 7月19日(金) 午後4時45分から
場所: 青山学院大学 理工学部(世田谷キャンパス)1号館 5階 1538号室

講演題目:超短パルスレーザーとそれを用いた超高速物性研究
要旨:[I] 3.9fsパルス発生
1999年度に開発した4.7fsパルス発生装置の次のような点を改良することによって、さらに短い3.9fsパルスを発生させることに成功した。 (1) 信号光はプリズム対によって予備圧縮した。 (2) 励起光パルスを石英ガラスブロックによって、大きくチャープさせた。 (3) 励起光パルスにプリズムによって角度分散をつけた。 (4) 出力光を可変型鏡を用いて位相を制御した。 また絶対位相を自動ロックすることに初めて成功した。

[II] 物性研究への応用
(1)J会合体
スペクトル幅250nmのブロードなレーザースペクトルは、ポルフィリン (tetraphenylporphine tetrasulfonic acid)J会合体の最低励起一重項状態(Qバンド)共鳴励起する。 時間分解透過率変化における振動の起源が、ruffling modeを介した、Bバンド(第二励起状態)からQバンドへのdynamicな intensity borrowing (DIB)による、Qバンドの双極子モーメントの変調によるものである事を示した。 これは、DIBと言う現象の初めての例である。
(2) ポリアセチレン
ポリアセチレンは最も単純な構造をもつ共役ポリマーである。「ブリーザ (breather)」と呼ばれる、周辺格子の振動を伴うダイナミカルなソリトン対の結合状態が存在することも、Fukutome等、Bishop等により予想がされていた。 しかし、ブリーザの存在を示す実験例はこれまで無かったが、今回初めて実験的証拠を得ること に成功した。


共催・青山学院大学 理工学会 物理学分科会