青山学院大学 物理学科 コロキウム

2002年度 第10回

下記の通りコロキウムを企画致しました。 講演者の方には、学生の方にもわかりやすいご講演をお願いしてあります。 是非ともご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。

なお、今後の予定については www.phys.aoyama.ac.jp/seminars/ を御覧下さい。 また理工学部キャンパスへの交通についてはwww.phys.aoyama.ac.jp/maps/を御覧下さい。
 

(世話人・羽田野 直道・学外からは03-5384-2642・学内からは23107)



講演者:黒木 和彦 氏(電気通信大学 量子・物質工学科)

日時: 6月27日(木) 午後4時30分から[いつもと曜日が異なります]
場所: 青山学院大学 理工学部(世田谷キャンパス)1号館 5階 1538号室

講演題目:非連結なフェルミ面に起因する高温超伝導の可能性
要旨:銅酸化物における高温超伝導においては、強い電子間斥力が重要な役割を果たしている可能性が高い。 その臨界温度は、従来の超伝導体に比べれば確かに高温であるが、電子の持つ運動エネルギーのスケールからみれば、まだ低温である。 臨界温度が低くなる要因のひとつは、d波ペアリングによってフェルミ面上にギャップの零点(節)が生じるため、と考えられるが、その一方において、ギャップの符号反転は、斥力系において超伝導に必要な電子間有効 引力を得るために不可欠である。 そこで我々は、非連結な二つのフェルミ面を持つ系において、電子間斥力に起因する、より高い臨界温度を持つ超伝導が実現する可能性を提案する。 すなわち、ギャップが二つのフェルミ面間で符号を変え、各々のフェルミ面内では符号を変えければ、フェルミ面上にギャップの節が生じることを回避でき、高い臨界温度が期待できる。 我々は、このような状況が実現される系として、ダイマーを連結してできる種々の格子上のハバード模型を考えた。 その超伝導臨界温度をfluctuation exchange(FLEX)法とEliashberg方程式を用いて評価した結果、銅酸化物の模型である正方格子上のハバード模型の臨界温度に比べて数倍高い臨界温度を得た。 講演ではこれらの結果について紹介する。


共催・青山学院大学 理工学会 物理学分科会