2002年度 第4回
下記の通りコロキウムを企画致しました。 講演者の方には、学生の方にもわかりやすいご講演をお願いしてあります。 是非ともご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。
なお、今後の予定については www.phys.aoyama.ac.jp/seminars/
を御覧下さい。 また理工学部キャンパスへの交通についてはwww.phys.aoyama.ac.jp/maps/を御覧下さい。
講演者:福島 孝治 氏(東京大学・物性研究所)
日時: 5月17日(金) 午後4時45分から
場所: 青山学院大学 理工学部(世田谷キャンパス)1号館 5階 1538号室
講演題目:スピングラス状態の多変量解析
要旨:拡張アンサンブル法の発展により、スピングラスのシミュレーションの精度が向上し、準安定状態に捕らわれないシミュレーションが可能になってきた。
しかし、多数の準安定状態を反映したスピン状態を目にしても、そこから複雑な自由エネルギー構造を描くことは非常に難しい問題である。
この問題は、複雑な系に一般的に生じ得る。
例えば、タンパク質の分野では、シミュレーションで得られる立体構造をどのように特徴付けるかという問題が挙げられる。
そこで「シミュレーション結果の解析」というジャンルの研究が今後重要になってくると考えられる。
スピングラスの分野においても、ごく最近、MarinariのグループやYoungのグループ等によって、独立にシミュレーション結果の解析として、クラスター分析などの多変量解析的な取り扱いがされている。
我々は、多変量解析の典型手法である主成分分析を用いて、スピングラスシミュレーション結果の解析を試みた。
この解析は、物理の分野では帯磁率行列の固有モード解析に他ならないが、主成分分析としての見方が重要な役割を果たしている。
我々の結果は、短距離相互作用型のスピングラス模型において、O(N)の固有値が低温相で複数あることを示し、複数の純状態の存在を示唆している。
本研究は統数研の伊庭氏との共同研究である。
共催・青山学院大学 理工学会 物理学分科会