青山学院大学 物理学科 コロキウム

2001年度 第9回

下記の通りコロキウムを企画致しました。講演者の方には、学生や分野の違う方にもわかるレベルから始めて下さるようにお願いしてあります。是非ともご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。

なお、今後の予定については www.phys.aoyama.ac.jp/seminars/ を御覧下さい。 また理工学部キャンパスへの交通についてはwww.phys.aoyama.ac.jp/maps/を御覧下さい。
 

(世話人・羽田野 直道・学外からは03-5384-2642・学内からは23107)
(この連絡を定期的に受け取りたい方は世話人までご連絡下さい。)



講演者:春山 純志 氏(青山学院大学・電気電子工学科)

日時: 6月22日(金) 午後4時半から
場所: 青山学院大学 理工学部(世田谷キャンパス) 一号館 5階 1538号室

講演題目: 微小多孔質アルミナ膜を用いて研究された量子・メゾスコピック現象
要旨: 近年の半導体微細加工技術の著しい進展は、原子レベルの人工的微細構造の作製・制御を可能にし、多くの量子・メゾスコピック効果の知見、応用をもたらしてきた。 しかし一方で、自然形成される微細構造においても様々な新規な量子物性が観察される事も事実である。 本講演では後者の一種である”多孔質アルミナ膜”と呼ばれる自己組織形成される薄膜の特徴を利用して研究された量子・メゾスコピック現象を以下の3点を中心に紹介する。

  1. 単一トンネル接合系のクーロンブロッケード[1]
  2. 多層カーボンナノチューブへのドーピングによる反局在の生成とスピン偏極注入 [2]
  3. 強磁性体量子細線における磁壁の巨視的量子トンネリング(MQT)と位相干渉 効果[3]

1では接合の外部電磁場環境でのエネルギー散逸が単電子トンネリングに与える影 響を、2ではカーボンナノチューブ先端の僅か5%程度の領域にドープした物質が チューブ全体の電子波位相を反転させた結果生じる反局在の発見と、そのスピン反転 偏極注入との相関を、3ではニッケル量子細線で観察される磁気抵抗の跳びと磁壁の MQTの関係、及び強磁性、磁壁のMQTの電子波位相コヒーレンスとの相関を、 各々論じる。

いずれも現在話題になっている興味深いテーマであるので時間の許す限り丁寧な説 明と議論がなされる予定である。
[1]e.g. Phys.Rev.B 63, 073406 (2001), Appl.Phys.Lett. 77, 2891 (2000), Phys.Rev.B 62, 8420 (2000-II), Appl.Phys.Lett.76, 1698-1700 (2000)
[2]Appl.Phys.Lett., 79(2) July 9 (2001), In press on Phys.Rev.B and Physica E
[3]In press on "Macroscopic quantum coherence and computation" (Plenum, 2001) and Phys.Rev.B
いずれもJ.Haruyama. I.Takesue 他