青山学院大学 物理学科 コロキウム

2001年度 第1回

下記の通りコロキウムを企画致しました。講演者の永松さんは世界的な発見となった超伝導体MgB 2を卒業研究で発見した方で、皆様も新聞などの報道で御存じと思います。

是非ともご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。

なお、今後の予定については www.phys.aoyama.ac.jp/seminars/ を御覧下さい。 また理工学部キャンパスへの交通についてはwww.phys.aoyama.ac.jp/maps/を御覧下さい。
 

(世話人・羽田野 直道・学外からは03-5384-2642・学内からは23107)



講演者:永松 純 氏(青山学院大学・物理学科)

日時: 4月13日(金) 午後4時半から
場所: 青山学院大学 理工学部(世田谷キャンパス) 4号館 2階 4201号室 (いつもと部屋が異なります)

講演題目: 新超伝導体 MgB2
要旨: 従来の超伝導体は大きく分けて銅酸化物超伝導体と、非銅酸化物超伝導体とに大別できる。 前者は銅と酸素からなる二次元平面(CuO2面)を有し、超伝導転移温度Tcは高いもので130K程度もある。 しかし、セラミックスであるため異方性や展性、強度の問題から加工が困難であり実用に不向きである。 一方後者の非銅酸化物超伝導体、特に金属間化合物超伝導体は、Tcは低いものの合成・加工が容易であり、実際にSQUID素子やMRI等医療機器に利用されている。

 我々の発見したMgB2はこの金属間化合物超伝導体に属し、かつ現在最高の超伝導転移温度Tc〜40Kを持つ。 これまで最高であったNb3Ge(Tc=23K)と比べると大きな上昇である。 この発見は、物理的にはもちろん応用面でも非常に興味深いものであり、現在超伝導発現機構についてさかんに議論されている。

 MgB2の結晶構造はグラファイトとよく似ている。 Mg-layerとB-layerが交互に重なるという二次元的な構造で、バンド計算の結果からB-layerが伝導面を担うとされている。 しかし、BをBeに置換した新物質Mg(B,Be)2がTc =35Kを有する超伝導体であることが当研究室で確認された。 当日は新物質の発見過程や物質探索の手段を中心に、その後の展開について講演したい。


共催・青山学院大学 理工学会 物理学分科会