青山学院大学 物理学科 コロキウム

2000年度 第33回

下記の通りコロキウムを企画致しました。講演者の方には、学生や分野の違う方にもわかるレベルから始めて下さるようにお願いしてあります。是非ともご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。

なお、今後の予定については www.phys.aoyama.ac.jp/seminars/ を御覧下さい。 また理工学部キャンパスへの交通についてはwww.phys.aoyama.ac.jp/maps/を御覧下さい。
 

(世話人・羽田野 直道・学外からは03-5384-2642・学内からは23107)

講演者:望月 維人 氏(東京大学・物性研究所)

日時: 1月19日(金) 午後4時半から
場所: 青山学院大学 理工学部(世田谷キャンパス) 一号館 5階 1538号室

講演題目: ペロフスカイト型Ti酸化物における磁気相転移の理論
要旨:
Perovskite型Ti酸化物 LaTiO3は Laサイトをイオン半径の小さいYで置換していくと 反強磁性から強磁性への転移を起こす。この磁気相転移は 対称性の異なる磁気秩序間の転移であるにも 関わらず転移点付近で転移温度が抑制され 1次転移というよりは2次転移的な不思議な振舞いを見せる。 この反強磁性-強磁性転移の機構と転移温度の振舞いは、Ti 3d軌道の 自由度を考慮することによって系統的に理解できる ことを示す。 我々は、格子構造を反映させたspinと軌道の自由度を含む有効ハミルトニアン を用いて計算をした。 その結果、実験で観測されている反強磁性-強磁性転移は Aタイプ反強磁性から強磁性への転移で、 転移点近傍で c-軸方向のスピンカップリングが ほぼ0になり、強い2次元性が実現していることが分かった。 転移温度の抑制はこの2次元性によるものと考えられる。 また、二つの磁気秩序相で軌道状態はほとんど変わらず、 YTiO3で観測されている軌道秩序状態が 転移点近傍の反強磁性相でも観測されるものと期待される。 この系は、相転移を伴った2次元と3次元の制御が可能で それに伴い強い量子揺らぎの生じる興味深い系となっている。


共催・青山学院大学 理工学会 物理学分科会