2000年度 第9回
下記の通りコロキウムを企画致しました。講演者の方には、学生や分野の違う方にもわかるレベルから始めて下さるようにお願いしてあります。是非ともご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。
なお、今後の予定については www.phys.aoyama.ac.jp/seminars/
を御覧下さい。 また理工学部キャンパスへの交通についてはwww.phys.aoyama.ac.jp/maps/を御覧下さい。
講演者:求 幸年 氏(筑波大学・物質工学系)
日時: 6月23日(金) 午後4時半から
場所: 青山学院大学 理工学部(世田谷キャンパス) 一号館 5階 1538号室
講演題目: フェルミオンーボゾン相互作用系におけるボゾン場の分散と揺らぎの効果
要旨:
フェルミオンとボゾンが相互作用する系は、物性物理における多くの現象を記
述する。いわゆるポーラロン問題と呼ばれる単体フェルミオンの場合は比較的よ
く理解されているが、多体フェルミオン問題については、いくつかの摂動論によ
る取り扱いがなされているものの、統一的な理解には至っていない。この系にお
ける相互作用の効果を統一的に理解することは、電子格子相互作用系のようなあ
らわなボゾンを含む系のみならず、相関電子系の理解にも重要な役割を果たす。
本研究では、この多体相互作用系において、摂動論の及ばない領域も含めてボゾ
ン場の揺らぎの効果を調べた。動的平均場法を拡張して、ボゾンの分散の効果を
含めた議論を行なった。摂動論の破綻する領域において、ボゾンが媒介するフェ
ルミオン間の有効相互作用が強い揺らぎによって弱められ、ポーラロン的な局在
状態が不安定化する領域が見出された。この振る舞いがボゾン場のソフト化と密
接な関係をもつことを示した。広いパラメタ領域における相図を吟味し、この強
い揺らぎの現れる条件を明らかにした。ボゾンのもつ周波数によって、揺らぎの
現れ方が大きく異なることが分かった。
共催・青山学院大学 理工学会 物理学分科会