青山学院大学 物理学科 コロキウム

2000年度 第8回

下記の通りコロキウムを企画致しました。講演者の方には、学生や分野の違う方にもわかるレベルから始めて下さるようにお願いしてあります。是非ともご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。

なお、今後の予定については www.phys.aoyama.ac.jp/seminars/ を御覧下さい。 また理工学部キャンパスへの交通についてはwww.phys.aoyama.ac.jp/maps/を御覧下さい。
 

(世話人・羽田野 直道・学外からは03-5384-2642・学内からは23107)



講演者:宮崎 聡 氏(国立天文台)

日時: 6月17日(金) 午後4時半から
場所: 青山学院大学 理工学部(世田谷キャンパス) 一号館 5階 1538号室

講演題目: すばる望遠鏡と観測的宇宙論
要旨:
天文学は人が夜空を見上げた時から始まった最古の学問のひとつである。 最初は可視光しか観測手段がなかったが、近年の技術の進歩のおかげで、 現在では電波から高エネルギーガンマ線まで、電磁波のすべての領域に 及んでいる。観測波長領域が広がるたびに、新しい発見があり、人々 に驚きを与えてきた。例えば、宇宙のあらゆる方向からやってくる温度 3度K相当の電波が生まれたての宇宙の情報を提供してくれるし、また、 X線による観測により、中性子星やブラックホールなどのエギゾチックな 天体の正体を明らかになってきた。

すばる望遠鏡は人間に最もなじみが深い可視光と少し波長の長い赤外線を 観測するための、口径8mの大型望遠鏡である。400億円と10年の 歳月をかけて昨年完成した。太古の昔から何千年も観測してきた光の波長で、 我々は何を見ようとしているのだろうか?

可視光を中心とする電磁波を出す天体は、太陽のような恒星である。 恒星は集まって銀河を構成する。我々の目には普通星しか見えないが、 望遠鏡で宇宙を見上げると宇宙は銀河で満ちていることがわかる。 宇宙の構成要素は銀河であると言ってよい。したがって、宇宙全体の 構造や進化を研究する分野すなわち、「宇宙論」研究には可視光を使った 観測が基本になるのである。大望遠鏡を使えば、より暗い銀河、より 遠い銀河が観測可能になり、我々の宇宙認識の地平を広げることが できるのである。

我々のグループで開発してきた「すばる主焦点カメラ」を例にして、 すばる望遠鏡での観測の様子、データ解析の流れ、そしてその データを使って、最新の観測的宇宙論のトピックス「重力レンズ効果」 についてお話したい。


共催・青山学院大学 理工学会 物理学分科会