高安先生はフラクタル科学の研究者として、あらためて紹介する必要もないほど世界的に著明な物理学者です。 ご著書の「フラクタル」(朝倉書店)で御存じの方も多いと思います。 フラクタルな物理現象の解明に早くから取り組んでこられ、複雑系の研究で世界をリードしておられます。 近年では経済現象にも研究範囲を広げておられ、価格変動の冪的な分布を再現するモデルは内外から高い評価を受けています。
このたび、本学大学院集中講議をお願いしたところ、快く引き受けて下さいました。またとない機会ですので、広く学外からもお越し下さいますよう、ご案内申し上げます。
講師:高安 秀樹 氏(ソニー・コンピューターサイエンス研究所)
場所: 青山学院大学 理工学部 一号館 5階 1538号室
講義題目: 「経済・情報・生命の臨界ゆらぎ」
時間割:12月 8日(金) 16:30−18:00 コロキウム「臨界ゆらぎとしてみる価格変動」
12日(火) 11:10−12:40 「複雑系の基礎:概念と手法」
13:30−15:00
14日(木) 10:40−12:10 「インターネット物理学と経済物理学」
13:00−14:30
15日(金) 11:10−12:40 「経済物理学の展望」
13:30−15:00
要旨:
「複雑系の基礎:概念と手法」
フラクタル・カオス、相転移などの基礎概念を簡単に説明し、地形、地震、破壊現象
など地球科学的な問題への適用例を通して、なぜフラクタル的な性質が安定して実現
するのかについて解説する。
「インターネット物理学と経済物理学」
現代の私たちの生活にとって身近なインターネットや経済を物理学の視点から解析す
る。どちらも人間が意図的に作り出した世界であり、対象が物質ではなく、日々変化
しており、物理学のアプローチがうまくいく保障は全くない。しかし、現実のデータ
を物理学の手法で解析することによって、背後に潜む普遍的な法則性を見い出すこと
ができることを示す。
「経済物理学の展望」
物理学の概念と手法を利用して、膨大で複雑極まりない現実の経済データを分析して
いこうという経済物理学は欧米では大きなブームになっており、金融の現場と物理学
者の交流も盛んになってきている。物理学がいかに金融の世界に寄与できるかという
視点で、経済物理学の最新の研究成果を報告する。