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宇宙では地上では実現されないような物理状態が見られる。 私はそのような極限状況におけるプラズマ物理に関する研究を行っている。 今では、電磁波や高エネルギー荷電粒子に加えて、ニュートリノや重力波という様々な手法で、人類は天体現象を観測している。 しかし、ほとんどの天体現象については、これらの大量の観測データを同時に説明する理論が存在しない。 そのような天体現象の中で私が注目するのは以下のようなものである。

パルサー


パルサーは1967 年に電波で発見された周期的なパルスを発する天体で、磁化した回転中性子星とされる。 パルサーの最初にして最大の謎は電波パルスの放射メカニズムである。 その電波放射は非常に明るく、天然のレーザー源と言える。 我々は放射メカニズムに迫るために、パルサー周辺のプラズマとそのレーザー放射が起こす非線形相互作用を最新の実験室レーザー等を駆使して研究している(左下図)。

パルサー星雲 天文月報記事へ


回転中性子星であるパルサーはその莫大な回転エネルギーを相対論的速度のプラズマ風、パルサー風として放出している。 結果として、パルサーは自らが放出したプラズマの雲に覆われて観測される。 それがパルサー星雲である。 パルサー星雲は電子の静止質量を優に上回る温度を持つ、非常に希薄な磁化プラズマであり、電波から高エネルギーガンマ線という、人類が観測可能なほぼ全ての波長帯で光っている。 我々はパルサー風の放出気候を探るためにパルサー星雲の多波長スペクトルに関する研究を行っている。

恒星風と恒星圏 天文月報記事へ


太陽からは太陽風と呼ばれるプラズマ風が吹いていることが知られている。 太陽は星間空間を運動しているので、完全電離した太陽風プラズマは部分電離の星間プラズマを押しのけて、100 天文単位にも広がった太陽圏を作る。 太陽は我々の銀河の中でも最もありふれた恒星の一つであり、太陽同様の恒星が恒星圏を持つことが期待される。 我々は恒星圏の境界における非常に希薄な完全電離プラズマと部分電離プラズマとのユニークな相互作用に注目した研究をしている(右下図)。

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