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宇宙物理学への誘い(いざない)小学校高学年のころ、父親に相対性理論を解説した漫画の本を買ってもらったことがきっかけで一般相対性理論や 宇宙論に興味を持ちました。ちょうどこのころ、我々の銀河系のすぐ外側にある大マゼラン雲で 超新星爆発SN1987A(小柴先生がこの超新星爆発からニュートリノを検出したことでノーベル賞をもらいました)が起こり、 NHKでも宇宙に関する教育番組が放映されていました。中学・高校時代は、クラブ活動や勉強に時間をとられ、 特に宇宙に関する本を読むということはありませんでした。大学に入っても将来何を研究するかと考えることなく 物理の勉強をしていましたが、3年生の実験・ゼミ選択のときに初めて何をしようか考えて、 有名な先生のいる宇宙物理の研究室に入りたいと思い、宇宙関連の実験・ゼミを選択しました。 卒業研究も一般相対論に関することを勉強し、さらに、京大の宇宙物理を研究している研究室に入りました。 「これからは一般相対論をもっと勉強してそれを使って宇宙論・初期宇宙・量子重力理論を研究するぞ」と 意気込んでいましたが、研究室に入った瞬間、研究室の先輩やスタッフの方々を見て、 自分の持つ視野の狭さに驚かされました。宇宙物理に関する知識がぼくとは比べ物にならなかったのです。 衝撃的でした。ぼくは、それまで一般啓蒙書として世間に流布している事柄しか知りませんでした。 専門家ではないのだから当たり前です。さらに気づいたことは、 研究者が一生懸命研究してある程度の答えが得られたことが、世間のみなさんにも知ってもらおうということで、 TVで放映されたり本が出版されたりする場合がかなり多いのです。 つまり、僕は全く知らないけど研究すると大変面白いという話がたくさんあるということに気づきました。 自分はなんて無知だったのだろう。。。そう思ってからは相対論・宇宙論に直接関係ないことも、 宇宙物理に関することを広く勉強しました。 そうするうちに、自分が物理の基本の勉強をおろそかにしていたことに気づきました。 電磁気学・量子力学・統計力学などの学部でならうことはもちろん、 流体力学・プラズマ物理学・素粒子物理学など、不勉強なことがたくさんあることに気づき、 同時に一般相対論くらいしか勉強していなかった自分の愚かさに気づきました。 そんなこんなのうちに、僕が一番興味をもって研究したのが「高エネルギー宇宙物理学」という分野でした。地球には宇宙から宇宙線やX線・ガンマ線などの高エネルギー粒子がたくさんやってきています。 宇宙線粒子にいたっては、一粒子当たりのエネルギーが10ジュール(これはサーブをうったときの テニスボールの運動エネルギーに相当)のものがやってきています。 このような高エネルギー粒子やガンマ線がどこでどのようにして生成されるのか、謎だらけなのです。 その中でも、特に、ガンマ線バーストと呼ばれる宇宙の果てでおこる宇宙一激しい爆発現象に 関する研究を行い、博士の学位をとりました。ガンマ線バーストは世界中で盛んに研究がおこなわれている 宇宙物理の花形分野の一つです。 また、研究を進めていくうちに、「高エネルギー宇宙物理学」という分野は、 宇宙物理はもちろん、プラズマ物理学(核融合プラズマ、レーザプラズマも含む)や 地球物理学(オーロラ現象や地球磁気圏の物理)、はたまた経済物理学とも関連が深いことがわかり、 宇宙物理以外の研究者の知り合いがたくさんできました。 いろいろな分野の人たちと交流できるということは、 自分の普段研究していることを客観的に見直すいい機会にもなり、良い刺激になります。 というように、毎日楽しい研究活動を行っています。大学院に入りたてのころは、 いま自分がこんな研究をしているとは想像すらしていませんでした。 高エネルギー宇宙物理学を研究していくうちにその面白さに引き込まれていきました。 「勉強して面白いと思うことと、研究して面白いと思うことは全く違う」と研究室の先輩に 言われたことがありますが、まさにその通りだなと思います。 宇宙物理学は応用物理学的側面が強いです。 これまでにわかっている基礎物理学の知識を総動員して未知の天体現象に挑む、そんな感じです。 したがって、学部で習う物理学の理解は必須で、これをおろそかにしているようでは宇宙物理学 の研究はできません。大学院生になる前に基礎科目は完全にマスターするのは大変ですから、 研究しながら関連する物理を学んでいくという姿勢でいいと思います。 実際、僕はそのようなスタイルで物理の勉強をしてきました。みなさん、一緒に宇宙物理学を研究してみませんか? |
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